Clouset -「手放したいけど手放せない」を解消するサービス-

 このコラムの執筆者:仲西空良

01.作品説明

はじめに

この研究は、生活の中で日用品であるT シャツに抱いている魅力を紐解いてみたいという個人的な思いからはじまり、T シャツの潜在的な特性や魅力を明らかにするべく、出口の見えないリサーチに多くの時間を割き、顕在化した問題を再定義した特性や魅力によって解決できるようなサービス及びプロダクト(App)の設計を行いました。

サービス概要

誰しもが必ず持っている日用品である「Tシャツ」というプロダクトは、すぐ手に入れやすく、肌着として年中身につけている時間が他の衣服に比べ多い。また、Tシャツのもつ豊かな表現力によって、単なるアパレルブランドの商品だけではなく、イベントのグッズ、団体を象徴するユニフォーム、広告・販促媒体など様々な機会に生活者とのタッチポイントが存在する。  このような特性から、生活者それぞれの好みや趣味・嗜好にあったTシャツに出会いやすく、またそれらを長く着用する中で個人的な思い入れが染みつき、時に、手放したくても簡単に手放せないようなものになることがある。そんなTシャツの持つ特異性に目をつけ、Tシャツに染みついた個性豊かなエピソードによって「手放したいけど手放せない」を解消するサービスを考えました。

▲卒業研究作品展にて展示したパネル①(コンセプトを伝えるためのパネル)

卒業研究作品展にて展示したパネル②(サービス概要を伝えるためのパネル)

▲サービスのプロモーションムービー

サービス詳細

ペルソナ

後述するリサーチから、ペルソナは上の画像に示すように想定しました。

サービスフロー

「手放したいけど手放せないTシャツ」を所持している人が、このサービスによって同じような興味関心・好みなどを持つ人と出会い、語り合うなかで、金銭的なやり取りだけでなく、お互いの内面や価値観を介したやり取りによって気持ちよく手放せる次の持ち主を探せるサービスです。 また、アプリにはTwitterやInstagramのようなSNSのように個性豊かなエピソードが集うため、一つの読み物として楽しむ中で、知らず知らずのうちに自分好みのTシャツに出会えるような仕組みを考えました。

サービスモデル/グラフィックのこだわりポイント

このサービスモデルは上の画像に示すようなものを考えました。本サービス名は分かりづらいですが、家のクローゼット(Closet)に眠る個性豊かなTシャツなどがクラウド(Cloud)上の大きなクローゼットに集う様子からClouset(クラウゼット)と名付けました。それをサービスロゴ、アプリ内UIのグラフィックデザインに落とし込みました。

02.リサーチ

背景

この研究は、上の画像に示すように普段自分が生活する中で「Tシャツ」に感じていた漠然とした魅力や疑問を紐解き、新たな特性や価値を再定義し、それを用いて何か新しいものが生み出せないかという、事の発端は極めて個人的な思いからでした。

目的

Tシャツという生活に身近なプロダクトの特性や魅力、価値を再定義すること。そして「手放したいけど手放せなくなる」ことで家のクローゼットで眠り続け圧迫してしまうという問題を解消すること。

調査内容

生活に身近に存在し、当たり前すぎて気付けないTシャツの特性や魅力を明らかにするべく、様々なリサーチを行いました。 (拡大したら見えるかな、見れなかったら別の画像用意します🙏)

これはポートフォリオ用として人様にみせるために整えものですが、リサーチの情報や軌跡をまとめていたmiroはすごいことになっています…。ちょこっとお見せします。

miro編

◯アンケート/ヒアリングなどからTシャツの特性・魅力・特異性を分析

01.Tシャツの特性・魅力

02.Tシャツ以外で自己表現や個性が現れる日用品・生活品の洗い出し

03.02で洗い出したものとTシャツの差異をみる

04.03からTシャツの特異性を考察

◯書籍・ヒアリングから合計100人弱の「捨てられないTシャツ」にまつわるエピソード収集/分析

詳細を書くと膨大な量になるので、詳しい話は割愛しますが、狂ったようにTシャツに関するエピソードを収集し、その中でも「捨てられないTシャツ」に目をつけ100人弱のエピソードを収集し、「なぜ捨てられれないのか」「どんな思い入れがあるのか」などをまとめていきました。調べておもしろいなと感じたのは、多くの人が「捨てられないTシャツ」を持っていて、その半数を超えるものが「手放したい」という相反する感情を抱いていることでした。また、「捨てられないTシャツ」はTシャツが捨てられないのではなく、Tシャツに染み付いている思い入れやエピソードを「所有」していたいという感情でした。加えてその思い入れやエピソードというのは、極めて個人的かつ個性的で単純な読み物として成立するような魅力的なものばかりでした。

◯得られた切り口からソリューションアイデアの検討を行う

リサーチから得られた「手放したいけど手放せない」Tシャツを、Tシャツの特性・魅力を活かして気持ちよく手放すことができないかを様々なソリューションアイデアを検討しながら考えていった。

03.感想と後輩へのアドバイス

卒研が本格始動した4年生の春に行ったゼミで先生に「こんなことやりたいんです〜」とリサーチもせずただ「やりたいこと」が先行したアイデアを伝えたところ、「それつまらない〜なんでやりたいの?なんのために?ちゃんと調べた?」とまんまと自分の浅はかさを見抜かれてしまったことを鮮明に覚えています笑。その時先生から「まず出口の見えないリサーチしてみたら」とご助言をいただいて、長い長いリサーチが始まりました。リサーチをしているとどうしても「それらしい答え」を求めて近視眼的に情報を集めてその中で答えを導こうとしてしまいがちだったが、卒研のリサーチを機に、徹底的に調べる掘り下げるというマインドとその耐久力(体力)みたいなものが身についた気がします。卒研で一つのことに徹底的に向き合った結果、なぜこのテーマでやるのか、なぜやりたいのか、どんな最終成果物にしていくのかなどを考える過程で自ずと自分の興味・関心、今後やりたいことなど自分についてあれこれ考える機会が増えました。院進、就活を控えていた自分としては進学後「やりたいこと」と「やらないといけないこと」が明確になり、方向性が明確になりました。ここまで徹底的に考えられたのはある程度好きなことをテーマに卒研をさせてもらっていたからだと思います。赤研は特に卒研のテーマの自由度と許容度が高いので、卒研では「問題解決」だけに縛られずに、少しでも自分の興味関心のあること好きなことをテーマに行ってほしいなと思います!(じゃないと半年以上耐えられないので!笑)その一方で、思考の掘り下げが浅いものは自分のように簡単に見透かされてしまうので、反面教師にしていただきながら「自分の好きなこと」を突き詰めてほしいなと思います。頑張って下さい!

04.おわりに

めっちゃ長くなってしまいました… 。ここまで読んでいただいた方本当ありがとうございます。 下にFigmaで作成したアプリのプロトタイプリンクを置いておくので、興味がある方は触ってみてください!

05.ファイルや外部リンク

Figmaプロトタイプリンク